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かかりつけ医連携薬剤調整加算

2021年度介護報酬改定で「かかりつけ医連携薬剤調整加算」について、かかりつけ医との連携を推進し、継続的な薬物治療を提供する観点から見直しが行われ、加算(Ⅰ)~(Ⅲ)が新設されました。その内容を以下にまとめました。

概要

介護老人保健施設(老健)において、入所時及び退所時におけるかかりつけ医との連携を前提としつつ、当該連携に係る取り組みと、かかりつけ医と共同して減薬に至った場合を区分して評価する。また、LIFE(科学的介護情報システム)へのデータ提出とフィードバックの活用によるPDCAサイクルの推進・ケアの向上を図ることを新たに評価する。

単位数

かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ) 100単位 入所・退所時におけるかかりつけ医との連携を評価
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) 240単位 (Ⅰ)に加えてLIFEへデータ提出とフィードバックの活用によりPDCAサイクルを推進した場合の上乗せの評価
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ) 100単位 (Ⅱ)に加えて減薬に至った場合の上乗せの評価

主な算定要件

それぞれ全ての要件を満たす必要。入所者1人につき1回を限度。退所時に所定単位数を加算

かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ) 老健の医師または薬剤師が、関連ガイドライン等を踏まえた高齢者の薬物療法に関する研修を受講している
入所後1月以内に、かかりつけ医に状況に応じて処方の内容を変更する可能性があることについて説明、合意を得ている
入所中に服用薬剤の総合的な評価を行い、評価内容や入所時と退所時の処方内容に変更がある場合は変更の経緯、変更後の状態について、退所時または退所後1月以内にかかりつけ医に情報提供を行い、その内容を診療録に記載している
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅱ) 加算(Ⅰ)を算定している
入所者の服薬情報等を厚生労働省に提出し、処方に当たって、当該情報その他薬物療法の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用している
かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅲ) 加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を算定している
6種類以上の内服薬が処方されており、入所中に処方内容を老健の医師とかかりつけ医が共同し、総合的に評価・調整し、老健の医師が入所時に処方されていた内服薬の種類を1種類以上減少させる
退所時において処方されている内服薬の種類が、入所時に比べて1種類以上減少している

服用薬剤の総合的な評価について(かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)の留意事項より抜粋)

入所中の服用薬剤の総合的な評価について 入所中に複数の薬剤の投与により期待される効果と副作用の可能性等について、入所者の症状および生活状況等に伴う服薬アドヒアランスの変動等を十分考慮する
期待される効果と副作用の可能性の検討等を行うにあたり以下の指針等を参考にする
  • 「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(厚労省)
  • 「高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編(療養環境別))」(厚労省)
  • 「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」(日本老年医学会)

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かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)の留意事項に記載の「高齢者の医薬品適正使用の指針」、 「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」等をもとに高齢者への投与に関して注意すべき情報を搭載しております。高齢者における薬物有害事象の回避やアドヒアランスの改善、減薬を検討する際の参考に活用できます。

老年症候群リスク薬DB

かかりつけ医連携薬剤調整加算(Ⅰ)の留意事項に記載の「高齢者の医薬品適正使用の指針」に掲載されている「薬剤起因性老年症候群と主な原因薬剤」をもとにせん妄、転倒、食欲低下等、薬剤起因性老年症候群の原因となる医薬品を搭載しております。高齢者における薬物有害事象の回避や、症状や所見との関連が疑われる医薬品の中止、変更など処方薬の調整に活用できます。